生焼けの肉(特盛)

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「サンライズ鹿児島」は使い物になるのか?

 

交通機関、盛者必衰なり

 夜行列車。その名の通り、夜の日本各地を駆け巡り、長距離都市間輸送の需要に応える列車のことである。夜に出発し、朝に到着することは旅情溢れるだけでなく、前日に予定があっても目的地で朝一から活動できるというメリットがある。

 

 かつては日本にも多数存在していた。その数や列車の説明は多くの先人が取り上げているため、ここでは割愛させてもらう。

 しかし、航空機や高速バスに押され、今や定期列車は東京-出雲市, 高松(琴平)間の「サンライズ瀬戸・出雲」のみ。

 臨時列車も「18きっぱーの救世主」「走るスラム街」の異名を持つ東京-大垣間の「ムーンライトながら」と寝台列車界の希望の星と言われたものの新型コロナウイルスの影響で無期限中止となっている「WEST EXPRESS銀河」の2つしかない。…クルーズトレインはちょっとイメージと違うしね。

 

サンライズ鹿児島」ってなんだよ

  前の章で述べたように現役の寝台列車に「サンライズ鹿児島」なんてものは存在しない。そもそも鹿児島の主要駅、鹿児島中央駅(元西鹿児島駅)まで寝台列車が乗り入れていたのは「なは(京都-西鹿児島)(2004年熊本発着に短縮)」が最後。東京-西鹿児島間に至っては「はやぶさ(1997年熊本発着に短縮)」が最後である。とても悲しい、需要のなさが垣間見える。

 

 では、「サンライズ鹿児島」とはなにか。これは鹿児島中央から新幹線に乗り、岡山もしくは姫路でサンライズ瀬戸・出雲に乗り換えて東京に行くことついて私が今決めた呼び方である。

 この乗り換え自体は鉄道系YouTuberと言われる人達がしばしばやっているものだが、先に挙げたこの路線の需要のなさもあり、現時点では残念ながら鉄オタ以外やらないだろう。

 しかし、夜出発し翌朝には目的地に着くことに対して費用対効果が伴えば需要が増えるのではないか?

あわよくば需要が増えて新規列車ができないか、などと妄想し、この度検討してみようと思った次第である。流行れ、寝台列車

 

実際「サンライズ鹿児島」ってどうなの?

 現状「サンライズ鹿児島」を実行する方法は岡山乗り継ぎと姫路乗り継ぎの2通りがあるが、航空機との優位性は時間であると考えられるので姫路乗り継ぎになる。今回はこれをベースに検討する。

 

 そもそもとして時間に優位性があるのか。この前提が崩れたらよろしくない。

 残念ながら下り(東京発)は優位性がほとんどない。東京発こそ22:00だが、サンライズから乗り換える「みずほ601号」は 9:46着。一方で羽田発の航空機の始発は鹿児島到着が8:15(JAL)、SKY, ANAも9:00前に到着する便が存在する。朝一の飛行機にどう足掻いてもサンライズは勝てない。使うのは鉄オタぐらいである。従って、考察するのは上り(鹿児島発)だけに絞ることにしよう。

 

 姫路乗り継ぎを実行する時の鹿児島中央側の終電は 19:51発の「みずほ614号 」になる。サンライズが東京に到着するのは 7:08 である。半日ぐらいかかるものの、始業終業時間を考えると実用性はそこそこあるように思える。残業のことは1回忘れようね。

 

 新幹線乗り継ぎで東京に行くのは鉄オタしかいないし、桜島号→はかた号の夜行バス乗り継ぎはケツの肉が取れる夢を見たい人とYouTuberしかいないので、比較対象は当然航空機になる。

 

 鹿児島-羽田において航空機の最終便は20:50(SNJ,ANAとのコードシェア)、JALも20:30以降にあり、どのアライアンスも安心。これは勝負あったか。

 しかし、ここで予想外の問題が発生。なんと鹿児島中央駅から空港までのリムジンバスは最終便が 19:00 であった。19時前に鹿児島市を出なきゃ行けないのはなかなか痛い。出発時刻ではサンライズに軍配が上がった。

 では、到着時刻はどうか。羽田に最速で着く便はSKY300で8:50着。23区の主要部に出るには9:00を回ってしまう。いや、大田区が主要部じゃないって言ってるわけじゃないですよ、ほんとに。

 大手に至っては羽田への到着時間が9:00を回ってしまう(JAL 9:00, SKJ,ANA 9:05)。時間面においては「サンライズ鹿児島」の完全勝利である。

 最終便より遅く、始発より早いを体現する夜行列車の鑑である。

 

サンライズ鹿児島」の弱点見たり

 「サンライズ鹿児島」有能じゃん!と思った方はここから先を読まないで是非活用していただきたい。JRが泣いて喜びます。

 

 さて、直視しなければない現実。それは費用である。ご存知の通り航空機にはどの会社も名前こそ違えど早割が存在する。比較的長距離路線の羽田-鹿児島間であっても最安値7000円台から(SKY ¥7560)。大手でも9000円台から。ビジネスホテルに泊まれば前日入りしても間違いなく20000円を割り込むだろう。

 一方のサンライズ、そもそもとして姫路までの新幹線料金が21230円。秒で敗北じゃねーか。

 気を取り直して、姫路から東京までが乗継割引を利用して、最安値のノビノビ座席(ネカフェみたいなスペース)で11925円。ベッドが使える最安値はソロの18260円。30000円払ってネカフェ泊、ベッド使うとほぼ40000円はさすがにキツくないか?

  有能にも思えた「サンライズ鹿児島」。その呆気ない最後であった。

 

結論

 「サンライズ鹿児島」には19時すぎに鹿児島を出ても翌朝には東京に着けるという夢があった。だが、その夢は費用の面で破れてしまった。やはり陸上交通は時代の流れに勝てないのだろうか。

 だがちょっと待って欲しい(早口)。鹿児島から最終の航空便で帰る予定だったが、うっかりリムジンバスの最終便を逃してしまった場合、貴重なリカバリー手段になるのではないだろうか?鹿児島中央駅までのタクシー料金は高速を使えば約15000円。搭乗手続きに間に合うか怪しい時間帯であれば「サンライズ鹿児島」に切り替えることも選択肢に上がるだろう。

 

 健やかな旅のためなら金に糸目をつけない人、鉄オタ、リムジンバスを乗り逃したそこの貴方。今すぐみどりの窓口ダッシュだ。「サンライズ鹿児島」はいつでも君を待っている(繁忙期を除く)。