生焼けの肉(特盛)

140字で収まらないくだらない日常の思考をダラダラ語るブログです。

プロフェッショナル お勉強警察の流儀

フードコート巡回の朝は早い。

網湯田 近雄(アミュだ ちかお) 43歳。フードコートの警備を続けて7年のベテランだ。午前9時半、開店の30分前から彼の仕事は動き出す。

 

                    ~~~~~中略~~~~~

 

午後4時。1番仕事が忙しくなる時間だ。

「高校生がですね、大挙してくるんです。」

 

 彼の言葉通り、高校生グループがいくつも姿を現した。学校帰りに寄っているのだろうか。 楽しそうに喋る彼らをよそに、網湯田は不安そうな顔をする。

「…普段この時間には見かけない制服の人たちがいますね。」

 

 たしかに、文武両道を売りにする高校の生徒が見られる。帰宅部である可能性は無いのだろうか。

帰宅部の人はここにはあまり現れないですよね。部活が休みということはテストなんでしょうか。今日は大変になりそうですよ。」

 彼は険しい顔を見せた。一体どういうことだろうか。見回す彼の視線が1人の学生を捉えた。

「すいません、ちょっと行ってきます。」

 そう言い残して彼は学生の元へ向かう。一言二言と言葉を交わすと、学生はなにかを鞄にしまったようだ。

  (何があったんですか?)

「ノートを取り出そうとしていたんですね。混雑時間帯に長時間占拠されると困りますから、声をかけさせていただきました。」

 なるほど、彼のような警備員がいるからこそ、商業施設のフードコートの回転率が保証されているのだ。

 

  ノートを片付けた学生に番組スタッフが声をかけた。

 (今日はどうしてここで勉強を?)

「(ボイチェン)テスト前なので、学校の自習室が閉まる時間と夕飯までの繋ぎに来ました。ここならマッ〇シェイクもありますね。」

 (まだいるつもりですか?)

「はい、ノートがダメなら単語帳でも見ます。第一、ここには喋ってばっかで1,2時間占拠してる人もざらにいますしね。」

 学生は、犬が大きく書かれた英単語帳を取り出しながらそう言った。めげない学生と警備員のイタチごっこはまだまだ続くのだろう。

 

(Progressが流れ始める)

「まだまだフードコートの存在理由を理解しない学生もいます。本来私のような存在はいらないのでしょうか。」

「フードコートに "平和" が訪れるまで私は取り締まり続けます。」

そう口にする網湯田の目は闘志で燃えていた。

                                        終

         制作・著作

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 この話はフィクションです。実際の人物、建造物及び団体には一切関係ありません。

 一切関係ありませんが、フードコートとかファミレスとかでちょっと勉強道具取り出すと秒で取り締まりされて怖いですよね。しかもそれを意に返さずに続けられる人もいるし、メンタルすげぇ。偶数回いいね押したい。